肩こり・寝違い・ムチウチ・頚椎症

HOME | 肩こり・寝違い・ムチウチ・頚椎症



肩こり・寝違い・ムチウチ・頚椎症の症状とは

上記の4つの疾患は首の筋肉をはじめとする軟部組織の緊張や痙攣、癒着、損傷によって起こり密接に関わり合っています。
 
例えばムチウチ症を経験したが適切なケアを受けないと、それから肩こりもちになる事がよくあります。そして肩こりがある人は疲れが溜まったり、変な姿勢で寝てしまうと、寝違いになります。
また広義では頚椎症はこれらを包括しますのでこのページで説明します。
 
まず肩こりは首、肩、背中、肩甲骨間部のこり感や、ダルさ、痛みやそれに伴い場合によって悪心や吐き気、頭痛、口内炎、歯の痛みや浮いた感じ、息苦しさ、食欲不振、腹部の膨満感、動悸、喉のつまりや違和感(梅核気・ヒステリー球)等があります。
 
そして寝違いは首の筋肉が痙攣し動かすと痛み、首・肩だけではなく背中まで痛む事があります。起床時に発症する事が多いです。
 
私も鍼灸学校に通っていた時にひどい寝違いになりました。なにしろ、全く首が動かせず首の真上に頭が無いと激しく痛みました。
ですから振り向く時は体ごと捻り、ベッドから起き上がる時は両手で頭を支えていました。よく今でも覚えています。
 
次にムチウチは事故やスポーツ等で交通事故で衝撃を受けて首に鞭がしなるような運動(過伸展と過屈曲)が起こったり、頭や首に衝撃を受けた時に正常可動域以上の動きを抑制したり、内部へ衝撃が伝わらないよう首の筋肉が鎧の様に固くなってしまいます。
 
また皮下組織がダメージをうけ、毛細血管が傷つき内出血を起こし神経を圧迫して症状の原因となります。また内出血が固まって血腫となり、吸収されないと長期化する事があります。
 
血腫があるとMRIでわかりますが、基本的にレントゲンやMRI等、画像診断ではさして問題が無いとされます。頚椎捻挫や外傷性頚部症候群とも言います。症状肩こりや上肢に痺れがでたり、
自律神経症状は気分が悪い(悪心)、更に嘔吐、めまい、倦怠感、不眠等(ムチウチ症のように首が原因で自律神経症状が出ている場合はバレリュー症候群といいます)が出ることもあります。
 
最後に頚椎症は頚椎つまり、首が原因で起こる症状の総称です。
頚椎症とは頚椎つまり首の骨、もしくはその周囲の組織による症状でこれらの疾患の総称で広義では肩こりや寝違い、ムチウチも含みます。


狭義では頸部椎間板ヘルニア、頸部脊柱管狭窄症、変形性頚椎症、後縦靭帯骨化症等が該当します。
 
頚性神経筋症候群(CNMS)という言葉もありますね。
 
椎間板ヘルニアは、頚の骨と骨の間の軟骨が間から飛び出して肩や上肢、胸、肩引き(肩甲骨の内縁)に枝を出す腕神経叢を圧迫します。頚のヘルニアなら鍼で筋肉を緩めて頚を牽引するのが良いとされています。
 
脊柱管狭窄症や変形性頚椎症、後縦靭帯骨化症は骨が増殖して脊髄や神経を圧迫しています。鍼では増殖した骨を削る事は不可能ですから、これらの痛みには無効です。一時的に少しコリが楽になる位でしょう。反対に痛みが増殖した骨が原因では無く、筋肉ならば鍼で
改善します。
 

骨が増殖していても無症状の場合があり、症状の原因は筋肉だという場合があります。筋肉が原因でも画像診断ではわからないので、骨が原因か筋肉が原因かが分かりづらいのですが、鍼をすれば3回で判断できます。


首こり
 

肩こり・寝違い・ムチウチ・頚椎症の原因とは

①下や上を向く姿勢、うつ伏せで読書する姿勢一番多いのが長時間、下向きの姿勢を続けることです
読書やパソコン、携帯電話やポータブルゲーム、手芸等、我々の日常生活で手元を見ることが多々あります。
 
この姿勢を続けると首の筋肉が緊張して首からでている頭、肩、上肢、背中を支配する神経を締め付けます。
 
頭は成人で体重の10~13%に相当するので、ボーリングの玉と同じ位に重いのです。頭が首の真上に位置していれば良いのですが、下を向くと首の前方に頭が出てしまいます。
 
この姿勢は頭が前に落ちすぎないように首の筋肉が支える格好になり首の筋肉が緊張して首や肩がこります。
 
そして更にそれが悪化すると首の筋肉を走行する神経を圧迫しその支配先である頭、肩、上肢、背中にも影響を及ぼします。
 
反対にずっと上を見続ける姿勢も首に負担が掛かります。映画館に行っても最前列の席には座らないのはこのためですね。現場仕事に従事している人は上を向く姿勢を強いられる事があるようです。やはり首の真上に頭があるのが理想です。
 
またうつ伏せで読書したり、スマホを見たりする姿勢も首だけが頭を落ちないよう支持する形となる為に大きな負担となります。また競技用を始めとする前傾姿勢で乗る自転車も同じ理由で首に負担がかかります。

 
②腕や肩関節の肢位:キーボードやマウスを使用する時は腕を前に突き出すような肢位になります。またショルダーバッグを持つ時はずり落ちないように肩を挙上してすくめる格好になってしまいます。
 
腕や肩周囲の筋肉を支配しているのは首からでている腕神経叢という神経の集まりですが、それらの筋肉が緊張すると腕神経叢を経由して肩や首にまで緊張が上ってきます。腕は気をつけのようにダランと下に下げているのが一番楽です。
 
パソコン作業

パソコンやスマホ等、日常生活で手元を見たり腕を前に突き出す姿勢をとる場面が多い。


③ストレスストレスにさらされると首、肩や背中の筋肉が緊張します

それはなぜでしょうか。おそらく外部からの肉体的、精神的なストレスから身を守るために筋肉が緊張して硬くこわばるのではないでしょうか。
 
想像してみて下さい。
 
例えば、山奥へ狩りに出かけたが、帰り道に迷って夜になった
辺りは真っ暗でどんな動物が飛び掛ってくるかわからない。こんな状態だったら神経も過敏になり、筋肉もカチコチに固まり鎧と化して身構えざるをえないでしょう。そう考えるとストレスで筋肉が緊張するのは納得ができます。
 
特にダメージを受けると命に関わる首を守る為に肩をすくめ、脊髄を守るために首から背中、腰までつながっている起立筋等、固有背筋を収縮させて、神経をはりつめて帰り道を歩く。そしてめでたく家に帰れたらほっと一安心、筋肉もリラックスモードに切り替わって弛緩します。

現代では動物に襲い掛かられる機会はそうないですが、ストレスが原因で気が抜けない状態が長く続くと、帰宅しても緊張とリラックスの切り替えがうまくいきません。休むべき時に休めない状態だと肩がこってきます。

④事故やスポーツ等、強い衝撃を受けた:交通事故やスポーツ等でぶつかったり、打ち付けたりした時は首を衝撃から守るために反射的にグッと筋肉を固まります。お尻でも強い尻餅をついた時は同様です。このように強い衝撃を受けた場合は筋肉が固まって、自然には元に戻らないことが多々あります。

よって、ムチウチをしてから、頚、肩がよくこるようになった、天候が悪化すると後遺症が出るというのは決して珍しくありません。

⑤関連痛顎関節症や歯に問題があると首、肩もこってきますし、逆に首、肩が悪いと顎や歯自体に問題は無いのに影響を及ぼします。

恐らく顎や歯と関係する三叉神経の脊髄路核が頚部にまで走行しているからです。睡眠中の歯ぎしりがある場合や顎関節が痛かったり、ダルかったりすることがあります。

また視力が悪くて矯正が十分でないと肩がこります。見えにくいとどうしても頭を前に突き出す姿勢となり首に負担がかかるからです。ですから定期的に自分の視力とそれに対して適切に矯正できているかを把握するのは重要なことです。メガネでもコンタクトでもどちらでもいいですが装着すると違和感や不快感が生じる場合もあり自分にあった方法がよいでしょう。

⑥枕:起床時に首、肩がこりを感じるのなら枕に問題があるかもしれません。本来、睡眠は休息の時ですから首・肩がこるはずがないのですが、もしこるのなら睡眠中に何か原因があるのだと考えるのが自然です。

高い枕を使うと始めは首の後ろが引っ張られて気持ちいいので使ってしまうのですが、適切なストレッチの時間は20~60秒なので最初は気持ちよくても、一晩中首の後ろをひっぱるのは宜しくありません。
かえって伸びすぎを防ぐために筋肉は縮もうとして緊張します。
 
また寝違いは枕や寝る時の姿勢が悪いと首の筋肉が過剰に収縮または伸長される形になり結果的に緊張します。また明け方は心臓の拍動がゆっくりとなり筋肉に供給される血液が少なくなる時間帯ですので、緊張に拍車がかかり起床時に発症します。

以上が首の筋肉が緊張し肩こり・寝違い・ムチウチ症・頚椎症の原因になります。

 
   


肩こり・寝違い・ムチウチ・頚椎症の鍼施術

 

頸部の刺鍼

頚部の刺鍼例1

 
 
頸部の刺鍼

頚部の刺鍼例2 症状が頑固であったり感受性に応じて鍼数を増やします。 

鍼施術の一番のポイントは夾脊穴になります。頚椎の一番上から胸椎の圧痛や普段症状を感じる高さまで、夾脊のラインにうちます。要するに首の後ろにある首の骨の両端の筋を緩めるわけです。

ちなみに夾脊穴の取穴法は、後正中から外方5分棘突起間か、棘突起の高さに取るとなっていますが、狙いは神経根周囲の筋肉をゆるめることなので取穴法よりやや外側(2~2.5cm)にとります。更に、外の背部兪穴ラインは骨に当たるか当たらないか、微妙な所なので避けます。夾脊穴は鍼尖を脊椎に当てるのが気胸を防ぐために必須になります。これにより頭を後ろから支えている後頚部の筋肉の緊張を緩めると、頭、腕、肩、背中の筋肉を支配している神経根がでてくる所なので、支配先の筋肉に効果を及ぼします。

 この夾脊穴ライン、つまり後頚部がコリの大元ということになります。逆を言えばコリを感じる所というのは、あくまでも症状がでているところであり、大元ではありません。症状が軽い人であれば夾脊穴でかなり楽になりますが、元に戻る場合があります。何故なのか・・・。それは、原因となっている所がまだあるからではないでしょうか。
 例えば、三角筋や小円筋を支配する腋窩神経を例にとると、第5・6頚神経からでて、前斜角筋と中斜角筋で形成される斜角筋隙を通過して、そのまま外下方に進み肩甲骨の前をを通りぬけ、腋窩の深部を通過し、外側腋窩隙を通って上腕骨外科頚に沿って上腕骨基部の後面に出ます。また、知覚終枝は三角筋を覆う皮膚に分布します。第5・6頚神経の神経根が絞めつけられると、痛みの電気信号が伝えられ腋窩神経のどの部分も緊張する可能性があります。斜角筋かもしれないし、肩甲下筋かもしれない、三角筋や小円筋かもしれません。だから各々の反応をみて、緊張しているところがあれば刺鍼します。
 神経の電気信号は双方向に伝わるので、神経根に緊張があれば斜角筋や三角筋、小円筋に緊張が伝わるかもしれないし、逆に抹消から中枢にも伝わります。腋窩神経を例にとりましたが、実際はどの神経が圧迫されて肩がこっているかはわからないので、頚~上肢の反応は丁寧に診ます。
 また、顎関節症があったり歯が悪かったりしても、頚肩に影響を及ぼすので顎関節周りに鍼をすることもありますし、歯が悪ければ歯科医への受診をおすすめすることもあります。


言うまでもなく、鍼で筋肉を緩めると同時になるべく首に負担がかかることは避けます。詳細は家庭での養生法を御覧ください。